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三島手話サークル よつば友の会

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「三島手話サークル よつば友の会」の絵日記

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ミニ講演 夜の部

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2013年2月20日掲載

夜の部では毎月1回サークル会員に依頼して
30分程度の講演をしてもらっています。
意外な趣味の話や経験談が聞けてとても楽しいです。
 
今回は70歳を超えているろう者の男性会員の方に講演いただきました。
テーマは「ろう者の生活」。
古株会員さんとの会話の中で「手話を勉強して会話できるようになっても
聞こえない人の暮らしや困っていることがわからなければ意味がない」との
言葉に「なるほど」と思い、このテーマに決めたそうです。
彼らしく冗談をまじえながら、子どものころに失聴してから
最近までの体験を教えてくれました。
中でもお子さんが小さかった頃、熱を出したときの話が印象的だったので
紹介します。
____________________________
熱を出して寝ている子ども(健聴)が泣いて、妻が困っている。
妻も聞こえない。
あぁわかった、と氷枕をかえてやったが
「違う!」と怒っている。おかしいなぁ。
喉が渇いた?違う。病院につれていくか。
でも妻はつい30分前に連れて行ったという。
困り果てて、お向かいの奥さんに頼むことにした。
奥さんが来て、子どもの言うことを聞いて教えてくれた。
通訳みたいなものだ。
「お魚屋さんが来たと言ってます」
あぁわかった。
以前お魚屋さんが車で売りに来たとき、聞こえない私たちに
子どもが教えてくれたので褒めてあげたことがあった。
それを覚えていて、熱が出て寝込んでいても「お魚屋さんが来たよ」と
教えてくれていたのだ。
「わかったよ、ありがとう。また今度来たら教えてね」と答えて
やっとおさまった。
奥さんに来てもらって本当に助かった。
もしすぐに病院に連れて行っていたら?
先生が「どうしました?」ときくと子どもが
「あのね、お魚屋さんが来たの」
なんてことになったら恥ずかしくて二度とその病院に行けない。
手話通訳は本当に大切だけど、子どもが熱を出したなんてときに
市役所に連絡をしても通訳が来るのは早くても2時間後。
もしものときに頼れるのは、やっぱり地域の人。
災害時も同じ。
聞こえないことは不幸じゃない。不便なだけ。
手話を少しでも使える人・聴覚障害者に理解のある人が増えれば
暮らしやすくなる。
________________________
他にも、聞こえないからといって近くで大声を出されてもわからないことや、
近すぎると口も読めないし意味がないという話もしてくれました。
煙を感知すると受信機が振動する火災報知器の紹介もありました。
 
そして最後に、
「同じ聴覚障害者でも困っていることや苦労したことは
人それぞれ。ぜひ他のろうの会員にも経験を講演してほしい」と
まとめられました。
会員たちも大きな拍手!
 
手話の勉強だけではなく、ろう者が暮らしやすい世の中にするために
どんなことが必要なのかを知ることも、大切なサークル活動のひとつです。

ミニ講演2 夜の部

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2013年2月27日掲載

今回のミニ講演を担当してくれたろう者の方は、
子ども3人を立派に育てあげた偉大な母。サークルの姉御的存在です。
テーマは「生い立ち 今まで」
前に立つと「今までに困ったこと?ないなぁー」と話し始めました。
 
ろう学校の幼稚部に通っていた彼女は、
発音が上手にできるからという先生のすすめで
普通の小学校に1年遅れで転校しました。
授業は先生の話が聞こえないのでわからず、
隣の人のノートを見て勉強していたそうです。
「でも母が厳しかったので学力はそのまま。
遅れることはなかった」という言葉に
陰での努力がうかがえました。
 
社会に出てから美容師見習いをしていた時期。
シャンプー中はお客様の顔にガーゼがのっていて
口が読めないので
「熱いですか?」「かゆいところはありますか?」ときいて、
隣でシャンプーをしている従業員が首を振るのを見て
確認するということもあったそうです。
 
子育て中も特に困ったことはなかったという彼女。
最近になって赤ちゃんが泣くと光で知らせてくれる機械の存在も知ったけれど、
当時は夜も補聴器をつけたまま寝るという方法で
対応していたそうです。
出産後に聴力が落ちてからは長男が活躍。
ヤカンのお湯が沸いた音や電話の音などのちょっとした生活音も教えてくれて助かったそうです。
 
彼女が手話を使い始めたのは
このサークルに入ったことがきっかけ。
旦那さんの知り合いに誘われて入ってみたら
手話を知って性格が明るくなったそう。
「昔は暗かったのにねー。不思議だねー。」と。
確かに今の姉御からは、まったく想像できません!
 
現在の職場はスーパーの鮮魚部。
お刺身の指名がくるほどのベテランで、
お盆・お正月は指名が多くて忙しいそうです。
そんな職場での悩みはマスク。
鮮魚部なのでみんなマスクをしていて口が読めず、
会話のときだけはずしてもらうそうです。
それでも難しい口話の読み取り。
例えば
「きゅうり」と「キウイ」や
「たまご」「たばこ」「なまこ」などは特に難しい!
「10個」と「15」も見分けにくいので
さすがにこれは指で表してもらったそうです。
 
最後に質疑応答で印象的だった話を。
「母はずっと手話はだめだと言っていた。
でも私の息子の説得で手話が必要だと納得してくれた。
まあ、いつか母が口をはっきり開けられなくなったら
口を読むこともできなくなるかもねー」
話をきいていると苦労の多い彼女の人生。
サークル員はみな、大変だったでしょう?
困ったでしょう?ときくけれど、彼女は首を横に振ります。
「ま、性格だね!」と口を大きく開けて笑い、講演は終了。
 
一口に「ろう者」といっても十人十色。
他の方の講演も楽しみです。