箱根西麓〜豆州の土壌
2023/12/15更新!!
古くから箱根の西側、標高50m以上の斜面に広がる畑では、だいこんや馬鈴薯などの露地野菜が栽培され、昨今、箱根西麓三島野菜としてブランド化されている(“三島市ホーム > 旬産旬消> 箱根西麓三島野菜”)。約10年前に幕を閉じた大根祭りが、12月16-17日に復活(三島市谷田「みしまるかん」にて、たる漬けしたたくあんなどの販売や三島の大根が世の中に広まるきっかけとなった農兵節の演舞など)という新聞記事を拝見し、愉しみです。
箱根西麓の土壌は、本ホームページ ”「ミシマサイコ」情報”にも記載のように富士・箱根火山の火山灰(ローム)を母材とする黒ボク土壌、淡色黒ボク土壌で(三島市自然環境基礎調査報告書(平成15年3月))、根が生薬「柴胡」である「ミシマサイコ」にとっても好適土壌と考えられます。
以前、平成14年まで南伊豆町にあった厚生省の国立衛生試験所「伊豆薬用植物栽培試験場」にて1980年代頃行われた伊豆半島各所(石廊崎・天子山・浅間山(賀茂郡東伊豆町)・大室山・長者ケ原)から採取された野生「ミシマサイコ」の種の様々な生育特性情報については、本ホームページ ”「ミシマサイコ」情報”に詳細を記載しました。
捨象して概括すると、供試した範囲内では、1980年代伊豆に自生していた野生ミシマサイフの種子を採集地別に圃場及びポットで栽培し、生育・収量を検討した事例によれば、南伊豆町石廊崎系統が最も優れていたように読み取れました。
今回、1970年以前の伊豆における薬用植物の検討で、「ミシマサイコ」の生育土性の文献が入手でき、豆州/伊豆国の「ミシマサイコ」が生育した土壌についてデータを拝見できました。
限られたフィールド調査や限られたサンプリング土壌を用いた一実験例で、結論を得ることは難しいところですが、〔第2報〕のまとめは的を射ている記述と思いながら拝読しました(以下)。
「以上今回の調査だけで結論づけることは未だ不十分と思われるが, 最優良品の ミシマサイコを産する伊豆の風土感応は, 一般的にみて, 生育期間中相当湿気に富み, 高温多照を必要とするが, とくに発芽時に気温高く, 適当な降雨ある気候状態がよく, また土性については火山灰を含む「 クロボクJで, 腐植含量の多い埴壌土でしかも排水良好な微酸性土壌にもつとも品質のよい ミシマサイコが産するように思われる。」